絵画

今回の依頼客は、宮沢トシ江。彼女の父が海外で買ってきた絵画が、ある日、何者かに盗まれてしまったので、取り戻して欲しいという。
高志に情報を尋ねると、その絵画は、闇競りにある可能性が高いという。
早速、闇競りが行われていると噂されている佐々木邸に忍び込む正義達。
実は、佐々木邸は、トシ江の絵画の他にも、数多くの盗品を集めて、売りさばいていたのだった。
正義達は、闇競りの会場・佐々木邸に見張りとして忍び込み、お目当ての盗品を盗み返したのである。

刃物屋『力』
宰造、直の刀を研いでいる。
宰造「よし、これで手入れは終わったな」
直「ありがとうございます」
宰造「良いってことよ。ここしばらく、刀を研いどらんかったから腕が鈍っていた所やったでな」
衛「宰造さんは、かつて『神の手』と言われた武器職人のお弟子さんだったからね」
直「えぇっ?!そうだったのか!」
宰造「あぁ、俺の師匠はな。元は武士だったんや」
直「武士?」
 
回想開始
宰造(独白)「あぁ、若い頃は凄腕の剣客でな。数多くの敵を斬ってきたんやで」
宰造の師匠の若い頃は、凄腕の武士で、数多くの敵を斬っていた。
 
宰造(独白)「そやけど、家が突然破産してもうてな。武士の身分を奪われて、刀を持つことも許されなくなってもうたんよ。周りは、もうダメなんじゃないかと思っていた。けど」
家が破産して、周囲は心配する。
 
宰造の師匠「刀が使えなくなっても、作る事は出来る!」
 
宰造(独白)「と言って、刀だけに及ばず、数々の武器を研究して、武器屋を開いたんや」
宰造の師匠は、刀や武器を研究して、武器屋を開く。
 
宰造(独白)「そして、その武器は瞬く間に評判になって、幕府御用達とまで言われるようになったという訳や」
店に大勢の客が押し寄せる。
回想終了
 
直「へぇ…」
宰造「俺が使っとる、このからくり箱は、師匠が作った武器の中でも最高傑作の1つや。この箱の中には、あらゆる機能が詰まっとるんやで!お前も見たやろ。銃乱射機能とか、防壁とか、催眠ガスとか」
直「あぁ、それは見たな」
宰造「そやけど、ほとんどが消耗品やからな~、補充するにも手間がかかるんよ~。そやから、同じ機能はなかなか使えんのや」
直「そ、それは大変だな……(汗)」
その時、ガラッと扉が開いて、智が入ってくる。
直「青瀬さん?」
智「お話中、悪いけど、お客さんが来たよ」
直「あぁ」
智「あと、谷澤さんと佐伯さんも一緒に来てくれる?」
宰造、衛「了解」
 
『導光』客室
依頼人:宮沢トシ江(素封家のお嬢様。紺のワンピースを着用。西内まりやがモデル)
トシ江の回想開始
トシ江(独白)「先日、父が海外で絵画を買ってきてくれたのです」
絵画は、トシ江によく似た少女が椅子に座っている油絵。
トシ江(独白)「父によりますと、私にそっくりな少女が描かれていたことから購入したそうで、私もこの絵を大変気に入っておりました」
トシ江も、絵画を気に入る。
トシ江(独白)「ところが…」
夜、何者かが、突如トシ江の家に押し入って、絵画を盗む。
トシ江(独白)「何者かに、絵画を盗まれてしまったのです」
トシ江の回想終了
 
トシ江「警察にも届出を出したのですが、なかなか行方が掴めなくて……お願いです。どうか絵画を取り戻して欲しいのです」
正義「了解した」
 
『導光』居間
居間に集まった正義と智。
智「つまり、その絵画を取り戻すってことなんだけど、問題はどうやって、探し出すかってことだよね……」
正義「この手掛かりを探すには…」
 
森羅寺
寺の縁側に座っている高志。
高志「えっ?依頼人の絵が、どこにあるかだって?」
正義「あぁ」
高志「そこまでは分からないが、(少し考えて)うーん……あ、1つ心当たりがあるな」
正義「心当たり?」
高志「あぁ、闇競(やみせ)り」
正義「闇競り?」
高志「あぁ、競りって言葉は知ってるだろ?どうやら最近、盗品を売りさばいている連中がいるっていう噂があってな。盗まれた絵画も、もしかしたら、そこへ行けばあるんじゃないか?」
正義「なるほどな。それじゃあ、後でその場所へ案内してくれないか?」
高志「分かった」
 
佐々木邸前
高志に案内されて、佐々木邸に集まった正義、智、直、宰造、衛。
高志「ここが、闇競りの会場と噂されている場所だ」
正義「ここが?見た限り、豪邸って感じだけど?」
高志「実は、ここで闇競りが行われているらしい」
正義「じゃあ、そこへ潜入すれば良いってことなのか」
高志「あぁ、でもどの部屋が会場なのかは、俺もさっぱり分からないんだよな」
正義「そこは、衛の得意分野だな。衛、お前は闇競りの会場を調べてきてくれ」
衛「了解」
衛、早速、屋敷に回り込む。
書庫、寝室、食堂など、あちこちを調べる。
佐々木邸・迎賓室(中は、立派な椅子とテーブルが数多く並んでいる)
 
衛「ん?」
衛、足元の床に何か違和感を感じる。
衛、絨毯をめくると、床下に大きな扉があった。
衛「何だ、これは?」
衛が扉を開けると、地下に続く階段があった。
衛「こ、これは…!」
 
夜、佐々木邸の裏庭
衛「(地図を指さして)北東の部屋の床に、隠し階段があった。多分そこが闇競り会場だと思う」
衛、迎賓室の床に、地下室があった。多分、そこが闇競りの会場だと思う。
正義「分かった。じゃあ、問題はどうやって忍び込むかだな」
直「客のフリをするとか?」
高志「それはやめた方が良い。あそこは選ばれた人しか入れない所だからな。招待状が無いと、入れない」
宰造「じゃあ、招待状を奪ってソイツの代理として忍び込むっていうのは?」
智「そんな事をしたって、『どちら様の代理ですか?』って聴かれたら、おしまいだよ…?」
宰造「あちゃー、そうやったかー」
衛「いっそ、黒服の見張りを倒しちゃうとか?」
正義「それも良いけど、客が混乱して慌てふためかれても困るしな……(何かを思いついて)あ、そうだ!」
智「何?」
 
佐々木邸・迎賓室
招待客が、招待状を見張りに見せて、部屋に入る。
見張りA「これで全員だな」
見張りB「あぁ、後は…」
?「ちょっと、失礼」
見張りAB「ん?」
見張りABが顔を向くと、2人の顔にそれぞれ拳が入れられ、見張りは2人とも気絶する。
正義「ふぅ、ちょろいもんだぜ」
正義が、扉を開けると、中には他に見張りが5人程、待ち構えていた。
正義「ハハ、アハハハハハハハ……(笑って誤魔化す)」
 
佐々木邸裏・闇競り会場
中には、大勢の客がいる。そして、舞台には佐々木彦麻呂(派手な洋服を着た太りぎみの中年男性)と布がかけられた絵画が登場する。
佐々木「さぁ、早速今回も始まりました。美術品競り。この競りを主催致しますのは、私、佐々木彦麻呂と申します。ここに集まった美術品は、全て市場に出回らない傑作品ばかり。皆様、この機会に是非、運命の美術品を手に入れてください。まず、最初の作品は、コチラ!」
佐々木が、布を取ると、絵画が登場。
佐々木「それでは、早速5円(=10万円)から開始!」
A6!
B8!
C9!
客が次々に挙手する。それをこっそり見る正義達(正義達の衣装は、シルエットなどで見えない様にしてほしい)。
正義「ほぅ、そういうことか」
智「それで、どうするの?」
正義「とりあえず…」
正義、智に耳打ちする。
正義「このことを他の隊員にも伝えてくれ」
智「分かった」
佐々木「それでは、この絵画は15円で落札されました!
佐々木、客Dに絵画を渡す。
D「ありがとうございました」
D、退場。

佐々木「それでは、本日の目玉商品どうぞ!」
見張り2人が絵画を持って入ってくる。
佐々木「『少女』です!」
絵画に掛けられた布を取ると、そこには絵画のない額縁があった。
騒然とする客。
佐々木「な、何なんだ、これは?『少女』の絵画はどうした?!」
?「『少女』の絵画なら、こっちにあるぜ」
佐々木「誰だ?」
佐々木と観客が声のした方に目を向けると、『少女』の絵画を持った正義(見張りの格好をしており、口元は布で隠している)が地下入口に登場。
佐々木「い、いつの間に?!
正義「見張りのフリをしてお目当ての品の出番まで、待っていたのさ」
 
闇競り会場の入口
見張りは全員気絶しており、褌姿にされている者もいる。
佐々木「何ー?!
正義「それじゃ、俺達はこれで失礼するぜ」
正義、その場を立ち去る。
佐々木「何をボーッとしているのだ、早くアイツを捕まえろ!」
見張りは正義を追いかけるが、捕まえようとした所で、ピタッと止まる。
佐々木「ど、どうしたのだ、何をするのだ、お前達!早くあの男を捕まえろ!
彼らも口元に布を巻いて、カツラを外す。
智、直、宰造、衛、高志も、見張りの格好をして潜入していたのだ。
智「実は、僕達も仲間なんだよ…」
佐々木「何ー!?」
衛「あと、舞台裏の護衛は、先に寝かしておいたから」
 
舞台裏の控え室
護衛は全員気絶している。
 
佐々木「何だとー?!」
正義「それじゃあ、この絵画は元の持ち主の所に返しておくぜ」
正義達は、階段を駆け上がって、その場を去ろうとする。
A「ま、待て!
客は一斉になって追いかけようとする。
宰造「そうはさせんで!」
宰造、からくり箱で、佐々木や客に向かって、閃光を浴びせる。
佐々木、客「うわーーーーーっ!!」
佐々木と客は、眩しさのあまり、目を塞ぐ。
宰造も、その場を去った。
 
翌日
佐々木邸・室内
佐々木「クソッ!何なんだ、昨日の連中は!警察に通報して、とっ捕まえてやらなければ!」
佐々木、イライラしながら、室内をうろつく。
その時、トントンと、ノック音がする。
佐々木「誰だ?入るが良い」
すると、扉が開いて、刑事が警察を引き連れて立っていた。
佐々木「おぉ、やっと来たか。昨日、私の家に、導光隊という盗人がやって来たので、是非…」
刑事「いえ、実は、今回は導光隊のことではなく、貴方の屋敷に、盗まれた美術品があるという報告を受けたのです」
佐々木「な、何だと?」
刑事「ちょっと、屋敷内を拝見させてもらいますよ」
刑事と警官達は、ズゴズゴと部屋に入る。
佐々木「あぁ、ちょっとちょっと!」
警官A、廊下の壁に掛かっている絵画を見て、
警官A「警部!この絵画は、盗難被害にあった物と一致しています」
刑事「何?」
佐々木、青ざめる。
警官B、室内にある高価な壺を指差す。
警官B「警部、倉庫から見つかった、こちらの壺は、先月美術館から盗まれた物ではないでしょうか?」
刑事「何だと?」
佐々木、こっそりその場から逃げようとするが、すぐに刑事に後ろから襟を掴まれる。
刑事(佐々木の胸倉を持って)「さぁ、どういう事なのか、説明してもらいましょうか?」
佐々木「ひいいっ!!
 
『導光』前
トシ江、正義から絵画を受け取る。
トシ江「皆さん、ありがとうございました。おかげで、絵画が無事戻りました」
正義「そうだな。親父さんとも、仲良くな」
トシ江「はい」
 
新聞に、『闇競りの主催者・窃盗の疑いで逮捕-美術品は全て盗品-』という記事が掲載される。
 
『須藤屋』店内
成子、新聞を読んでいる。
成子「いや~、かねてから闇競りの噂は流れとったけど、まさか本当にあったとわな~。それにしても、導光隊は凄い連中やなー。ウチも一目会ってみたいわぁ。にしても、どうすれば会えるんやろうか?(少し考えて)……そや!」
成子は何かを思いつく。