はじまり

◯浜辺(夕)
    夕陽が海に映っている。
    座って海を見ている二宮紗子(しゃ
    こ)(16)。
   目には涙を浮かべている。
   制服を着た男女が手を繋ぎ歩いてい
   る。

紗子M「人生はうまくいかないから面
   白い。そんなの全く嘘、結局、誰か
   に向けられたポジティブなんてなん
   の効果もない」
   
   立ち上がる紗子。

紗子「不公平だ!私は恋愛がしたい
   のに!」
     
   鼻をすすり、手で涙を拭く紗子。
   紗子の近くに犬が寄ってくる。 
   犬に懐かれる紗子。

紗子「...犬に好かれてもな」

   犬を撫でながらため息をつく紗子。

◯シブキカフェ・全景(夜)
    木造で作られた店構え。

◯同・中(夜)
   カウンター席が5席、テーブルが3
   つある店内。
   カウンター内にコーヒーサイフォン。
   エスプレッソを一気に飲み干し、
   ロールケーキを食べる紗子。
   制服に「喫茶シブキ」と書かれたエ
   プロンを着ている紺野夏奈(16)。
   呆れた顔の夏奈。
   壁の時計は10時

夏奈「そろそろ店閉めたいんだけど」

   悲しそうな顔で夏奈を見る紗子。

夏奈「子犬が捨てられているかのよう
   な目をしても駄目」
紗子「冷たくなったもんね。か、れ、
   しが出来ると」
夏奈「いや、明日も学校あるし」
紗子「そんなこと言って、さっきから
   携帯チラチラ見てるじゃない」
夏奈「探偵にでもなるつもり?」
紗子「話を聞いて欲しいの!」
夏奈「...あと何回?」
紗子「時間が許すまで!」
 
   ため息をつく夏奈。

夏奈「今回も気持ち伝えてないんでし
   ょ?」
紗子「恋ってね、言わなくても伝わる
   ものなの」
夏奈「生きる時代間違えたかもね」

    カップとロールケーキを下げる夏
    奈。
    ふてくされる紗子。

紗子「だって、夏奈の様に胸があるわ
    けでもないし」
夏奈「その考えは...違うと思うけど」
紗子「男のロマンは胸!」
夏奈「それなら、帰ってたっぷり睡眠
   を取ろっか」
紗子「遺伝子をなめるんじゃないよ!」
夏奈「駄目だ。今日はテッペン超える
   な」

    鼻から息を出す紗子。

◯同・外(夜)
    すっきりした顔の紗子。
    疲れ切った顔の夏奈。
紗子「じゃぁまた学校で」
     手を振る夏奈。
     歩き出す紗子。

紗子「あっ!そうだ!」

     振り返る紗子。
     店のドアが閉まり、電気が消える

紗子「...まぁいっか」

     頷き、鼻歌を歌いながら歩く紗子。

◯紗子家兼「弁当屋 にじゅうまる」
   ・全景(早朝)
   「弁当屋 にじゅうまる」と書かれ
    た垂れ幕。

◯同・厨房(早朝)
   割烹着を着て調理をしている二宮涼
   子 (42)。
   割烹着を着た紗子が入ってくる。

涼子「お早う、そこにある食材切って
   」
紗子「お母さん」
涼子「なに?」
紗子「ちょっとこっち向いて」

   紗子に体を向ける涼子。
   涼子の胸を触る紗子。

紗子「ご愁傷様です!」

   不敵に笑う涼子。

◯同・外(朝)
    殴られる音。

◯同・厨房(朝)
    頭を抑えている紗子。

涼子「忙しいの。文句ある?」

    首を横に振る紗子。  
    まな板の前に急いで向かう紗子。