はじまり3

○七四季高校・校門(朝)
  地図を持ち、校舎を見ている白鳥。
白鳥「やっと着いた」
  歩き出す白鳥。

◯同・二年A組教室(朝)
  黒板に「自習」の文字。
  眠っている吉野。
  紗子の隣で勉強をしている夏奈。
  紗子の机にハンカチとノート。
  ノートに「白鳥紗子」と書き、横 
  に数字を書いている紗子。
  数字に丸や二重丸を付ける。

紗子「29画!吉画やっぱりそうなるよね~」

  嬉しそうな紗子。
  ノートを見る夏奈。

夏奈「白鳥?」
紗子「これから出会う運命の人」
夏奈「それはそれは」
紗子「彼氏の見てあげようか?」
夏奈「そういうの信じないから」
紗子「そっ。結構当たるのに」

  ドアが開き安子が入ってくる。

安子「はい、お待たせ」

  起き上がる吉野。

吉野「待ってました!」

  騒つくクラス内。
  緊張した面持ちの紗子。

安子「みんな、騒がない。えっと、ちょっと訳あって、転  校してくることになりました。中に入って」

  ドアをジッと見つめる紗子。
  坊主の市橋旬平(16)が入ってくる。
  口を大きく開けて固まる紗子。
  黒板に「市橋旬平」と書く安子。

安子「じゃあ自己紹介」
市橋「えっと関東第二から来ました市橋旬平です。よろし
 くお願いします」

  深く礼をする市橋。
  呆然としている紗子。

紗子「...ハゲ。ただのハゲ」
夏奈「あの人が運命の人?」
吉野「関東第二? 市橋旬平...旬平?旬?」

  立ち上がり市橋に指を指す紗子。

紗子「ただのハゲは転校してくるな!!」
夏奈「ちょっと紗子」
安子「二宮さん!貴方」
吉野「あああ!!!!」

  立ち上がる吉野。
  目を見開く吉野。

吉野「思い出した。あれだよ、あれ今が旬...」

  狼狽える安子。

安子「ちょっと吉野君...」
市橋「自己紹介はこれで。あと、君」

  吉野を見る市橋。

吉野「俺?」
市橋「あとで話しない?」
吉野「おっおう」
安子「とっとりあえず座って、席は二宮さんの隣で」
紗子「はぁ?何で私の隣に...」

  しかめ面の紗子。
  紗子に近づく市橋。

市橋「よろしく」

  一瞥し、顎を突き出す紗子。

紗子「よろしくね。ハゲ」

  市橋を睨みつける紗子。

◯同
  市橋の周りに生徒達。
  机に弁当が2つ。
  ため息をつく紗子。
  紗子を見ている夏奈。

夏奈「どこ行ったんだろうね。紗子の季節」
紗子「面白がってるんでしょ?」
夏奈「そんな事ないよ。でも少しだけ面白い」
紗子「ほら。あー私にも余裕が欲しいな」

  パンを咥え教室に入ってくる吉野。
  吉野を見る市橋。

市橋「吉野、ちょっと」

  騒つくクラス内。
  構える吉野。

吉野「(裏返り)こっ校舎裏で話そうぜっぜ」

  教室を出て行こうとする吉野。
  吉野に付いていく市橋。
  吉野を見る紗子。

紗子「圭太!」
吉野「ん?」

  動揺している吉野。

紗子「私の仇取ってきて」
吉野「おっおおう」

  震えながらガッツポーズをする吉野。
  教室を出ていく市橋と吉野。

夏奈「市橋君に何かされたの?」
紗子「期待させた罰」

  満足気にご飯を食べる紗子。

◯同・校舎裏
  立ち止まる吉野と市橋。

吉野「こここ、ここでいいだろう」

  構える吉野。

吉野「いいいいつでも来い!」
市橋「あのさ、黙っててくれない?」
吉野「だだま、だまっ黙る?何を」
市橋「気づいたんだろ?俺の存在」

    不思議そうな顔をする吉野。

◯同・二年A組教室
  ふくみ笑いをしている紗子。
  呆れた顔をする夏奈。

夏奈「タチ悪いよ」
紗子「大丈夫。圭太が何か出来る奴じゃないし」
夏奈「そうだけどさ...」

  卵焼きを箸で掴む紗子。

紗子「大勝利」

  卵焼きを口に入れようとする紗子。
  市橋の肩に手を乗せ教室に入って
  くる吉野。
  
吉野「持つべき者は友達だな!」
市橋「だな!」

  親指を立てる市橋と吉野。
  吉野を見て卵焼きを落とす紗子。

紗子「何で仲良くなってるの?」
吉野「話せば長くなる。男の友情だ」
紗子「薄っぺらい友情なこと」
吉野「今なんて言った?」
紗子「余計な事しかしない、よけいた
って言ったのよ」
吉野「はぁ?黙って聞いていれば」
紗子「黙ってましたか?ゴメン、存
  在にも気づかなかった」

  手を合わせる紗子。
  笑っている夏奈とクラスメイト。

夏奈「2人とも夫婦漫才は止めよう。お腹が痛くなっちゃ
 う」
紗子、吉野「誰が夫婦だ!」
吉野「よし、旬平、行け!!」
市橋「さてと飯、飯」

  机に向かう市橋。
  呆然とする吉野。

紗子「安い友情」

  口を手で押さえて笑う紗子。
  下唇を噛む吉野。

吉野「覚えておけよ!」

  教室を出ていく吉野。

紗子「ふぅ」
夏奈「仲良いね」
紗子「ただのクラスメイトよ。それより...」

  市橋を見る紗子。

紗子「思ってたより強敵ね」

    頬杖をする紗子。