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あの後、この屋敷の主人であるサレハンド・ローカントを警備兵達が厳重に囲んでやって来た。
まあ、あいつらはかなり驚いただろうなぁ。
自分の屋敷に在る部屋に入ってみれば、そこには見知らぬ四人の姿が。
そして、自分の大切にしていたレキサドラは無くなり、都市全体から根こそぎ集めた水は逆流して溝から溢れ出して現在はすっからかん。
自分のレキサドラをオレ達に盗まれたと思い込み四人を捕らえようとした途端、警備兵達の後ろから今度は都市の国家警備隊と、アレトス・シティルトというこの都市を治めている人がやって来て、自分がお縄についてしまった。
話によると、ここの主人はレキサドラによって都市に暮らす人達の生活を半年以上も妨げ、また国家から賜った権力をこの都市で濫用していたためだとか。
そして、更なる追い討ちをかけるように、ノアが一言、

「では、貴殿が賜った国家の権力、財産を一切剥奪するように、私から国王陛下へ直接伝えておきましょう」

ノアって、国家の役人とまでは聞いていたけど、まさかそこまで地位が高いとは思わなかったな・・・・・・。
それと、オレ達がこの屋敷に勝手に侵入したことは、本来ならオレ達も捕まることなのだが、今回のレキサドラの件とノアのお陰でお咎め無しってことになった。
とりあえず、今日のことは一件落着。



ここは、カスティミアから伸びている街道。オレ達四人は、のんびりと歩みを進めていた。
オレとイルーファは、これから故郷のエンルーシュへ戻るため。
ノアとクレイは行き先を決めていないので、とりあえずオレ達について来ている。

「ところで、お前ら二人はこれからどうするんだ?」
「このままエンルーシュの支部に戻るよ。今までの仕事の報告とかしないといけないからな」
「・・・・・・さすがに、カスティミアでの事件については控えるけどな」

さっきからずっと考えこんでいるように見えるノアは、目線を上げる。

「では、我々もエンルーシュへ向かいますか」

ノアの発言を聞いて、クレイは首を傾げた。

「でも、エンルーシュの近くにあれがあるって情報は確実じゃないだろ?
それよりも、ここから北東にある大きな町の方が確実なんだし・・・・・・」
「いえ、エンルーシュが先です。不確定な情報だからこそ、まず調べなければならないはず。
考えているだけでは、先へは進めませんからね」

それに。ノアは一旦言葉を止めて、オレとイルーファの方を見た。

「ルイシャ君とイルーファ君と、もう少し一緒に行動してもいいと思いまして」

それを聞いて、オレとイルーファはお互いの顔を見合わせた。
イルーファは僅かに表情を緩ませ、オレはニヤリと笑った。やれやれ。
今後、オレ達は更に大変な事件に巻き込まれそうな予感が・・・・・・いや、予感ではないだろう。確実だ。


オレ達は、数日間過ごした水の聖都を後にした。